東京じじの絵たち

祖父から託された数百点にものぼる作品たち


若かりし頃、絵描きになる夢を抱きながらも、その道を諦めた祖父

それでも趣味として描き続け
幼い頃から絵がそばにある環境が当たり前でした

漫画の世界から抜け出してきたような気質で
昭和の亭主関白で
厳格で
繊細で
どこまでも頑固な人

そんな祖父が
大好きな絵について語る時だけは別人のように朗らかで
よく笑い、よく話してくれました

私と祖父を深く繋いでいたのは
いつも「絵」だったように思う

あまりにも繊細な気質で
そして自由に作品を発表できなかった世代だったからか
生前、どんなに展示を勧めても
頑なに首を縦に振ることがなく

祖父が大病をし
残された時間がわずかになったときに
「もっとたくさんの人に絵を見てもらいたい」
という思いが日に日に増した私は
勇気を振り絞って
「絵の権利を私に譲ってもらえないだろうか」
「おじいちゃんの絵はもっといろんな人に見てもらうべきだ」
と問いかけました

やせ細った手で私の手を握りながら
「智子、頼んだよ」と
力ない笑顔で嬉しそうに託してくれた日を
昨日のことのように思い出す

作品たちを眺めていると
思わず笑みがこぼれてしまうような優しさがあります

これまで札幌で二度開催した展示会は、おかげさまで大盛況でした
一人でも多くの方の目に、祖父の生きた証が留まることを願って

これからもゆっくりと
この大切な作品たちを
届けていけたらと思っております